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Sumifude
by Suzuki Satomi

《SHITEN chair》
chair design, 織田コレクション収蔵(旭川),ミラノサローネ フォリ出展 ほか
(ミラノ, 京都, 東京)2015

浮世絵には中国山水画、絵巻、さらには西洋の遠近法など、複数の遠近法を1つの画中に組合せた構図が見受けられる。仮に浮世絵師が遠近法を複数組合わせることで平面表現の限界を打ち破ろうと試んでいたとするならば、これはあくまで仮説であり推測の域は出ないが、浮世絵はキュビスムより 1世紀半も前から、この手法に気付いて取り組んでいたことになる。本作は〈3次元・空間〉を〈2次元・平面〉で表現した浮世絵的複数遠近法の構図を、椅子という〈3次元・立体〉へ次元転換し再構築したものです。実際に制作した椅子には次元変換の際に非現実的な構造(歪みやねじれ)が発生しており、この次元変換による副産物「ねじれ構造」によって、僅か 2mmの薄い鋼板でありながらも椅子としての着座に耐えうる強度を得ている。意匠登録第1546559号 

《SHOIN|書院》
installation art, 有斐閣弘道館(京都)2014


京都の書院造建築で開催した個展。書院造の特徴を〈仕切〉〈雁行〉〈奥性〉の3テーマに設定し、それぞれのテーマで制作した作品を各部屋の〈床の間〉に展示。〈床の間〉は上座(室内入口から一番奥まったところ)にあることが一般的であり、訪れた鑑賞者は〈床の間〉に置かれた作品を順を追って鑑賞することによって、襖や廊下で仕切られた部屋を奥へ奥へと進む感覚と、ジグザグとした雁行形の動線が体験できる内容となっている。 素材:鉄鋼,版画

《SUZURI-BOX|硯箱》
wagashi design, 京菓子展「手のひらの自然-琳派400年企画展」デザイン部門大賞(京都)2014


琳派をテーマとした京菓子コンテストで大賞を受賞した和菓子。琳派の解釈を尾形光琳と同時代を生きた歌人松尾芭蕉の俳諧理念〈不易流行〉と紐解き、不易と流行をそれぞれに記号化した2層の錦玉羹で表現している。上層は光琳の代表作「八橋蒔絵螺鈿硯箱」に描かれている斜め橋を記号化して〈流行〉を表現しており、また下層は小豆本来の美しさをそのままに見せることで、いつの時代にも変わらない普遍性を意味する〈不易〉を表現している。創菓:京都有職菓子御調進所 老松

《View》
woodblock print, 国際木版画展入選(東京)2014


浮世絵の技法〈水性凸版木版, 手彫り, ばれん手摺り〉によって制作した木版画。また縞文様に対する洋の東西比較をテーマに制作している。縞を意味する英語 stripe の語源 strip には(栄誉や地位を奪う)という意味があり、フランス語 rayer(縞をつける)には抹消するという意味も含まれる。そのためか西洋の中世期に縞の衣服を着ることを命じられていたのはハンセン病患者や死刑執行人など、当時社会から疎外された人たちだったという。一方の日本の江戸期は〈奢侈禁止令〉をきっかけに多様な縞文様が誕生しており、織物研究家の外山美艸によると日本には270種類もの縞の名前があったという。縞は「粋」なものとして江戸の人々に好まれており、本作は江戸の〈奢侈禁止令〉によって生まれた〈縞文様〉、および〈四十八茶百鼠(多彩な灰色)〉をもちいて、日本人の遊びの精神を表現しています。

《Wave》
woodblock print, クラコウ国際版画トリエンナーレ入選(ポーランド)2015


ポーランドで3年に1 度開催される国際版画コンペ〈クラコウ国際版画トリエンナーレ〉入選作品。室町・桃山・江戸、そして戦後バブル期の80年代ポップカルチャーなど、いつの時代も日本の大人たちは文化と戯れてきた。その文化的豊かさを表現したいと思い、本作を制作している。なお制作技法は浮世絵と同じ技法(水性凸版木版、手彫り)に加え、制作当時一般的に流通しはじめたレーザーカッターを一部に使用しており、新しい木版画表現の文脈を模索した。

《“ORI” series》 woodblock print(京都)2014, wall paper design 2018 and T-shirts design 2020

平面を折って多面的視点を得る〈ORI〉シリーズ。わたしは、1つの物象であっても、多面的視点で観察することで新しい視点を発見することが可能だと信じており、それを創作の mission statement としている。まだ見ぬ視点/視座を発見することの有用性を作品を通して伝えていきたい。

《banana meets toiletpaper》
woodblock print, Central Academy of Fine Arts (北京) 2008


在北京の伝統木版画留学中に制作した木版画。わたしが留学していた 2007-2008年の北京胡同では食事や散髪などの生活行為を玄関先の戸外で行う人が多く、思えば中国春画も戸外を背景に描かれることが多いことに気付いて制作したもの。なぜこんなに〈あけっぴろげ〉なのか。日本の浮世絵にみる春画は遊郭や市井の人々をモデルにすることが多いため、戸内(室内)における性描写が多い。対しての中国春画は、宮廷に暮らす人々がモデルとなっていることが多いため、広大な中庭(半屋外)における牧歌的かつ開放的な性描写が多く、その様相を〈芝生〉〈トイレットペーパー〉〈バナナ〉で隠喩的に表現している。水性凸版木版画, 手彫り, ばれん手摺り

《Tokyo Dango|東京だんご》
architecture dango project 2019-


団子は米を材料とする日本のフィンガーフードである。古来より祭事との関わりがあり、また郷土性を伝える食媒体でもある。本作は Tokyoの景観を団子に写し取ることで、〈いまの東京という郷土性〉を伝播するプロジェクトとして行っており、最終的にはデザインとレシピのオープンソース化を目指している。

《Kaleidoscopes Workshop|万華鏡ワークショップ》
workshop, 東京藝術大学陳列館(東京)2015


東京藝術大学陳列館で開催された「SENSE of Wonder展」の関連企画ワークショップ。マテリアルのもつ素材性への再発見と驚きをテーマにしており、産廃素材を使った万華鏡ワークショップを行った。廃材という名前がつけられた素材が万華鏡という回転装置(cycle)によって、その様相が再循環(Re-cycle)される。それらの行為から、持続可能な(Sustainable)マテリアルの循環を表現している。 協力:産業廃棄物会社 株式会社ナカダイ, 素材:廃材(樹脂ペレット、糸状の樹脂素材)、アルミ筒、塩ビミラー、ホース、ガラスビー玉

《Read a Book Shelves|本棚をよむ》
project 2014
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美術鑑賞をするように、本棚を介して所有者を鑑賞するプロジェクト。読書は自分で自分を編集する行為であり、人間は編集された作品である、という視点からこのプロジェクトを行った。解釈は多様に存在するが、美術鑑賞(Art)は、その背景にある文脈を読み解くことで、作家が投げかける問いについて思索する行為であり、物質的作品はそれを誘発させるトリガーとして存在する。そのように仮定した場合、本プロジェクトは本棚という物質的な編集履歴をトリガーとして、そこから想像するイラストを描き、そのイラストを描く行為によって所有者を鑑賞している。

SAKUTEIKI|作庭記》
media art, 東北芸術工科大学 entrance gallery(山形)2000


自分の庭を所有できるのは、かつては権力や財力のある一部の限られた人たちであった。この作品を制作した2000年は日本国内におけるインターネットの世帯利用率が34%になった年である(1997年 6.4%, 1998年 11%, 1999年 19%, 2000年 34%, 2001年 60% 総務省調べ)。インターネットとデジタル技術の進歩によって、わたしたちの欲望は急速に実現可能となっていくことを予感し、誰もが簡単に自分でPCで庭をつくることができるゲームアプリ《作庭記》を制作した。題名は日本最古の庭園書『作庭記』から。 Macromedia Director, Power Macintosh

《Discord》
media art, 山形県立美術館(山形)2001


老子道徳経をソースに、中国語の四声および音節を Macromedia Directorで可視化した作品。中国語と日本語は同じ漢字でありながら、その文法や発音は異なる。なかでも興味深いのが中国語における「四声(しせい)」であり、これは音の高低差によってその発語が指し示す漢字を絞り込む役割がある。中国古典の発生は韻を踏んでいるものが多く、世界で最初にラップをしたのは中国人だという仮説を表現している。 Macromedia Director, Power Macintosh >> YouTube動画

《BONSAI-no-utsuwa|凡才の器》
kinetic installation, Tohoku University of Art and Design(山形)1999


東北芸術工科大学の本館 5Fから7Fの吹き抜け空間に、高さ4.2m × 1.5m × 1.5m のPVCシートでつくった透明な器を吊り下げ、そこへ学生や来場者に風船を投入してもらう作品。上部には、器の中の風船を一気に破壊するためのクラッシャーを設置しており、展示最終日にその破壊パフォーマンスを行った。はたしてわたしたちは美大で何を学んでいるのか? という問いへの答えとして制作している。 >> YouTube動画

《Mourning Works》
kinetic installation, space EDGE(東京)1999


死に直面した際に起こる〈喪の仕事〉をテーマにした作品。我々は、自分で自分の顔を直接見ることができないように、我々は、死の経験を伝えることはできない。この絶対的な法則を前提に、人々は死をどのように捉えているのかをリサーチし、この作品を制作した。中央の袋はブロワーとコントローラーによって膨張と収縮を繰り返し、その上に置かれているのは同一人物の2つの肖像写真。


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